ご来賓の皆さまへ感謝の謝辞。
本日受賞されます児童の皆様、保護者の皆様、誠におめでとうございます。
1989年に始まったMOA美術館児童作品展は、現在、国内をはじめアメリカ合衆国、メキシコ、フランス、ブラジルなど11カ国が参加し、昨年の総応募点数は19万点を超える作品展となっています。第1回からの総応募数は1000万点を超えています。
本作品展は、「学習指導要領」にもとづき、子どもたちが自然・環境、社会、他者との関わりを通して、興味や関心をもったことを、感性を働かせながら表現することで、情操を養い豊かな心を育てることを目的にしています。
さらに、子どもたちの創作活動を奨励することは、夢や目標に向かって、自ら考え、行動する力、すなわち「生きる力」を高めると同時にそれぞれの国の伝統と文化への関心を高め国際文化交流に役立つものと考えています。
本作品展では様々な個人、団体と協力しながら、医療福祉機関での巡回展示や、年間を通じた美育活動など、学校・家庭・地域が連携し、社会全体で子どもを育ていくことを重視しており、このことによって、地域社会の絆を深め、心身ともに健康な活力のあるコミュニティづくりを進めていければと願っています。
最後に、未来に羽ばたく子どもたちに夢と希望を与えられる児童作品展として取り組んでまいりますので、今後とも皆様のご支援ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
本日は誠におめでとうございます。
公益財団法人 岡田茂吉美術文化財団(MOA美術館)
新学習指導要領には、「生きる力」ということを柱に、「生活を美しく豊かにする」ということや「豊かな情操を養う」「生命を尊ぶ心」「自然尊重」「思いやり」「感謝の心」「社会に奉仕する喜び」「美に感動するこころ」等々、MOAが進める「美育」と共通した指導方針が示されています。そして、これを進めるにあたって、学校・家庭・地域の連携の重要性が示されています。その背景には、児童・生徒・保護者の価値観や生活の変化などから来る、モンスターペアレンツや不登校、いじめ、落ち着いて授業が受けられない児童の増加、学力の低下等々の社会問題とも言うべき、教育の実態があります。こうした教育が抱える問題に向かう学校の努力を理解したうえで、ともに「美育」に取り組むことで、様々な問題解決の一助となればと考えております。
MOAが学校や公共施設などへの花の活けこみや、児童に花やお茶を教えたり、生活に「美」を取り入れてもらえるように提案・実践するのはその意味にほかなりません。この児童作品展が、家庭、地域、学校と連携して進めていく中で、児童の心の問題など、様々な問題が解決してゆく事実が起きています。児童作品展への願いは、MOAが進める「美育」は単に情操教育に止まるものでなく、児童の心の健康と、そこに関わる家族やボランティア、作品を鑑賞する方の心の健康の増進に寄与することを願っております。それは身体にも影響を与えて行くものであり、正に「生きる力」を与えていくものであると信じております。
第35回 MOA美術館枚方交野児童作品展実行委員会 2024